This Will Be Our Year


今、ストーブを切った。すぐ眠る直前までつけていると勿体ないように思えるが、実際に消してから2時間くらい寝ないことが多いから、寒くて逆に寝付けなくなる。でも今日は暖かいから、今消してみた。

先日、年末に差し掛かる前に押入れの掃除をした。ありとあらゆるものをすべて引っ張り出して整理整頓していると、日記が出てきた。

ちょっと懐かしくなって中身を見てみたら、最後に書いてあるのは2022年の1月11日、1年ほど書いていないし、なんなら2022年も2回しか書いていない。2021年の9月に彼女ができて、いろいろ悩んでいたのに、その次にすっぱり1年飛んで、別れていたのが面白かった。たった2ページの間にたくさんの時間、葛藤、苦悩、歓びとかが空白のままに書き記されないでいた。無限って、こういうところにあるんだと思う。
だから今年1年もここで振り返っていこうと思う。憶えているだけ、できる限り。

 

雪が完全に解けるまえにこのブログを始めた。自分の中に溢れかえっている言葉を、どうしても外に放出したくて始めた。Twitterだとどうしても文字数が限られていて、抽象的になる。抽象的だと、チープになってしまう。これは完全に実力不足だけど。あとTwitterは知り合いがたくさんいて、恥ずかしくてどう転んでもネタになってしまうから。始めたはいいけれど、言葉が一辺倒で同じ事ばかり書いてしまっている。自分の語彙のなさとか、思考をしっかりと固められず、言いたいことを表現できないこととかに心が折れかける。もっと言葉を知りたいし、頭もよくなりたい。普段からしっかり結論付けする癖もつけたい。


雪が解けて、また恋をした。ちょうど桜が咲くころに。恋っていうものは、人間をはっぴーにする。多分、この「はっぴー」って表現がしっくりくると思う。心が躍った。初めてじゃないのに、生まれて初めて享受する歓びをじっと、大事にするように。
「また」恋をしたというのは言葉通りで、2回目だった。一度好きになって、青さが抜けぬままにお別れしてしまった。それからずっと切り離せていたと思っていたものが、どうやらそういうわけにもいかず、引っかかっていた部分を取り除くようにまた会話を始めてしまった。

楽しかった。とても懐かしい、心地よい緊張感。自分が自分でないみたいに、言葉もたくさん選んだ。言いたくないのに言ってしまった、格好つけた言葉の数々。やっぱりはっぴーだった。通知が来ないと不安だし、死ぬほどかわいい声でやさしい言葉をもらったときは、のどが渇いた時に飲むコーラよりも幸せだし、彼女が泣いていれば、世界の誰よりも親身になれるとはっきり言えた。一日中、その娘のことばかり考えていた。正直、他のことは考えられなかった。このブログも彼女のために書いたものがたくさんある。

でも、うまくいくと微塵も思っていなかった。現に一度失敗したし、なにより彼女にすべてを見せる自信がなかった、というか何もかも「本当のこと」を見せたくなかった。憧れのような恋なんだと思う。本当に好きだったから、自分なんかと深いところで関わらずに幸せになってほしいと思った。別に自分のことが嫌いなわけじゃない、むしろ自己肯定感は高い方だと自負している。それすらもはるかに凌駕する、理屈を越えた、精神的な繋がり。これは一方的だけど、小さな「神様」だと思った。だから、心のどこかで諦めていた。でもそれを忘れるくらい夢中に、日々とともに追いかけていた。


そうだ、バイクの免許もとった。でも、そこまで大変じゃなかったし、あんま憶えてないや。


どこから夏といっていいのかわからないけど、初夏のころはたくさん散歩をした。勝手に早朝さんぽ部を開催しては、4時に起きて2時間歩き回ったりしていた。夏は自分の産まれた季節でもあるから、どこか他の季節よりも距離感が近い気がする。アスファルトはじわじわと心地いいのか、悪いのかわからない熱を放出して、みんなと繋がりを持ちたがるし、空は雲一つなくて、青一色のベタ塗りなのに重厚感がない。それでいて、宇宙とつながっているかのように果てしなく青黒い。だけれど、とても軽やかだ。どこかの記事で書いた記憶があるが、夏のじわじわ暑い空気がひとしきり滞在した後に吹いた風で、J-popでよくある歌詞の「爽やか」の意味を知ったことや、日に焼けた自分の黒い手の甲に浮き上がる細やかな汗が、太陽の光を乱反射して、宝石のように見えたこととか、なんか夏はそういうあてのない、既視感漂う「エモ」に憑りつかれがちになる。夏を加速させて、少しでも涼しくしたいのかもね。


春に芽吹いた恋が遠くの誰かに摘み取られてしまった。実質的な期間は4か月くらい。その間の生活のスピードも同じくらいの体感速度。とてもはやく終わったと思うかもしれない。でも、思い返せば返すほど、永遠だった。重ね書きしたインクが空にとどくくらい、毎日飽くことなく彼女のことを考えていたし、満たされなくてもずっと俺は幸せだった。別に付き合うことが人類共通のゴールではないし、そのために命を懸けているわけでもなかったから、自然と離れていった。こころもからだも、ヒトはよくできたもので、もらった傷はもう自分の知らない、奥の奥の方にしまった。今までのことも忘れたわけじゃないし、好きだったことは憶えているのに、あの頃の心が躍り出すような、翼が生えた無敵のドキドキとかはもう脳みそのどこを探しても見つからないし、振り返ることなんかをしないと、日常を生きる上で思い出したりすることはなくなった。3年くらい抱えていた引っ掛かりももうない。今度会ったら、天気の話でもしようかな。本当はありがとうとか言いたいけれど、絶対に言わない。今はもう俺の方が強くてかっこよくて、無敵だから!


失恋(?)したころにちょうどバイクを買った。それはそれは大きなバイクを買った。風を切り裂け、大地を駆けろ、駿馬のように!みたいに一度ライディングしたら最後、気分は長瀬智也だぜ。大きな買い物をして、ドーパミンが脳内から溢れかえりすぎて、地面に漏出したんだ。買って一か月で砂利道でスリップして大ゴケ。修理代も最低限しか支払わず、やっぱりずっとカッコつかない俺の人生。まだまだ先は長いから、深呼吸して、のんびりやろう。


夏も終盤に差し掛かって、一週間程度の入院をした。入院というものに少し憧れというか、体験してみたい気持ちがずっと前からあって、すこしワクワクしていた。結局、面会はできず、点滴をさしたまま、風呂も入れず、頭も痛い、注射も怖いで、もう入院はしなくていいなと思った。健康が一番。でも、病院特有の清潔なのに、ツンとした空気感は今も気に入っている。人とまともに話せないと、スマホも全然楽しめないね、って感じ。

 

特に何があるわけでもなく、日々が淡々と過ぎていった。一度バイクで300㎞くらい走った。幼いころの、自転車でどこか当てのない果てまで行きたくて、限界に打ちひしがれていた自分に教えてあげたい。世界は際限なく広がっていることとか、0から300じゃなくても、0から1の間にも無限が存在していることを。

(追記)あ!あとそうそう、去年別れた彼女が俺のとても仲の良かった友達と浮気してたことが発覚!今更気づいても全然遅いのにね。ふぅ。すっかり忘れてたぜ、、


今、冬です。1年が終わるまでまだ半月くらいあるけども、もうあと半月かー、みたいなところはある。本当にこの1年は早かった。少しずつ、自分の「初めて」が減っていって、大人になったことに負い目を感じ始めているのかもしれない。まだまだ全然大人じゃないけれど、16、17のときとはわけが違う。何も変わっていないなんて自分では言うけれど、人よりいっぱい悩んで、考えて、歩いてきたものが蓄積されている。そう考えたら、成長していないなんて言葉、自分に言うべきじゃないと思う。しくったなー、めちゃくちゃ言ってるわ。

 

まばたきを3回している間に 

大人になるんですと君は言った。

.フジファブリック 「まばたき」

 

まばたきを3回、秒数にしたら10秒満たないのに、とずっと思っていた。15歳のときからこの曲が大好きだったけれど、この部分がずっとわからなかった。今年を振り返って、少しだけ実感した。この20数年、時間に直せばとても長い。あのとき考えていたこととか、半年前まで恋をしていたことだとか、細かく記憶をたどれば、きっかり20数年分になるのだけど、大人になった、今の年齢になった実感に必要なものを数えれば、まばたき3回で足りてしまうのかもしれない。それ以外の生きてきた証は雲の上の「Cloud」に保存してあって、死んだあとにゆっくりと確認できる。だから持てるものだけもって、「まばたき」しようと思う。

 

 

まだまだ書きたいことはたくさんあった。というか書き込みながら思い出している。いっぱい絵を描くようになったこととか、今年は1人でいることが本当に多くて、傷ついた分だけやさしくできると思っていたけれど、孤独でいればいるほど、独りよがりでわがままになっていることに気づいたこととか、まあ追々余裕があればいつかの日記に書ければいいと思う。昨日から、またノートに日記を書き溜めているし。

今回のタイトルはThe Zombiesの「This Will Be Our Year」(今年は私たちの年になる)からとった。2023年はあっという間で、何もなかったように感じるけど、ちゃんと生きた。1日も無駄になる日なんてなかった。これからの年も私たちのものになるように、「生きる」に愛着をもって、人生という散歩道を楽しめたらいいな、と思う。今年もいい年だったね、

 

ほんじゃまた。

 

The warmth of your love's

Like the warmth from the sun

And this will be our year

Took a long time to come

あなたの愛の温かさは

太陽からのぬくもりのよう

今年は僕らの年になるよ

ようやくやって来たんだ

.The Zombies「This Will Be Our Year」

 

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